約 45,019 件
https://w.atwiki.jp/dmps_fun/pages/510.html
オープニング 第1話 前編 第1話 後編 第2話 前編 第2話 後編 第3話 前編 第3話 後編 エンディング
https://w.atwiki.jp/roborowa/pages/146.html
赤い戦士と銀髪隻眼少女の邂逅 ◆14m5Do64HQ 辺り一面が林で生い茂った森林地帯。 エリアF-5、森林地帯で一人の少女がその眼を開く。 但し、開かれた眼は二つではなく一つだけ。 嘗て彼女の右眼があった場所には黒い眼帯が付けられている。 薄い銀色が施された長い毛髪。 首元から足と指の先まで、青色のタイツのような戦闘服でそのしなやか身体を包み込んだ少女。 そして、厳密に言うと彼女は人間ではない。 彼女は生身の身体に機械を埋め込み、人工的に造られた存在である“戦闘機人”。 “NO.5”、チンクと名づけられた少女が一点を見つめ続けながら立ち尽くしていた。 「許せん、許せるハズがない……!」 己の歯をこれでもかと言わんばかりに軋ませ、チンクが歩き出す。 時空管理局の教育プログラムに入った自分が、何故戦闘服を纏っているかなどの疑問はどうでもいい。 今のチンクにはそんな事よりも絶対的な目的がある。 一つは自分の妹である“NO.9”、ノーヴェと合流、そして保護。 二つ目はあるターゲットに完全なる破壊を下してやる事。 そう。チンクの怒りの矛先が向う対象は―― 「シグマといったな……貴様は私を怒らせた。 すぐに破壊してやる! 部品一つでも残してやるわけにはいかん!」 言うまでもなく先程自分達に殺し合いを、壊し合いをしろといったシグマ。 どうやら人間よりも、どちらかというと自分達に似た存在であるターゲット。 勿論シグマが言った、優勝者への褒美などチンクは全く信用していない。 またシグマの素性、目的なども今のチンクにはまるで興味がない。 何故ならチンクはもうシグマを破壊するために、必要な理由を十分過ぎる程に持ってしまったから。 いつも冷静な姿勢を貫き、落ち着いた性格であるチンクが思わず言葉を荒げてしまう程に。 「すまないセイン……姉は……姉は何も出来はしなかった。 だが見ていろ、必ず姉が仇を討ってみせる!」 先程無残にもシグマによって破壊された“NO.6”、セイン。 掛け替えのない姉妹である、セインが感じたであろう痛みをチンクは痛烈に感じていた。 チンクにとってセインは同じ姉妹の仲でも特に仲がよく、感じた痛みはより一層強い。 その痛みと、そして悲しみをシグマへの憎しみを変えて、チンクは黙々と歩き続ける。 小さな身体に大きな決意を忍ばせながら。 ノーヴェと合流するため、暫く歩き続けていたチンク。 やがて彼女の前方に眩いヘッドライトを光らせながら向ってくる物体が一つ。 車体の全部に虫の頭のようなデザインのマーク。 仮面ライダー1号、本郷猛が愛用していたサイクロン号がチンクの数メートル先で停車した。 「お前、ノーヴェという赤毛の少女を知らないか? 私と同じような格好をしているかもしれないのだが」 「知らんな」 歩いていた時に弄くっていたPDAによってこの会場の広さを知ったチンク。 そのため一刻も早くノーヴェの行方を知りたいチンクの問いに、サイクロン号に跨った男が無愛想に答えた。 だが、その男の返答にチンクは特に落ち込んだ様子はなく、ジッとサイクロン号を見つめ続ける。 そんなチンクの行動に対して、男は彼女に向けて視線を向け続けていた。 お互いただ、一言も喋らず無言のままに。 「そうか……ならば私はお前に問おう」 そんな静寂の空間でチンクが口を開く。 その言葉に男はほんの僅かに眉を動かせ、チンクの行動を観察する。 まぁ、男にはチンクが何を言おうとしているのかおぼろげながら予想は付いていたが。 「お前が乗っている、その移動手段を私に譲れ。素直に応じてくれるのであれば一切の危害は加えない。 断るのであれば…………」 この広い会場を移動するのに、紛れもなく重宝すると思われるサイクロン号。 勿論、チンクにとってもサイクロン号は魅力的なものであり、彼女はそれを狙っていた。 一刻も早く何処に居るかはわからないノーヴェの元へ向いたいチンク。 そのためにはサイクロン号は有益なものであり、チンクは目の前の男に理不尽な要求を行う。 「力づくでも奪わせてもらう。私にはそれだけの目的があるからな……!」 要求を言い終わったや否や、チンクは予めPDAによって転送を行い隠し持っていたナイフを握り締める。 何故か没収されていたスティンガーとは違い、とあるナイフ芸人が愛用した六本のナイフ。 それらのナイフを両腕で構える事で目の前の男を威嚇するチンク。 最早その表情には、自分の行動に対しての一片の後悔も見える事はない。 只、鋭い眼光でチンクは真っ直ぐ目の前の男を睨み続ける。 「俺もなめられたものだな……くだらん」 「なっ!?」 だが、そんなチンクの言動や行動には全く動じず、男はサイクロン号から降り立つ。 その時、チンクは自分の背筋になにか小さな震えが起きたような感覚に陥る。 何故なら今自分の目の前に居る男の眼光があまりにも鋭かったから。 いいたとえるなら大空を舞う隼のように、気高い意思を秘めた眼差し。 チンクは無意識的に目の前の男に対して僅かに恐怖を抱いていた。 「貴様の目的とやらは復讐か? そんなつまらん目的では俺を倒すコトはできん」 男にはチンクの目的が何か見当は付いていた。 始めの地で、セインを破壊したシグマに対して怒りの感情を滲ませていたチンク。 そんなチンクの存在を男は覚えていたからだ。 そして男の言葉にチンクは表情を歪ませる。 「なんだと……? セインがあのシグマというヤツに破壊され、私がセインの仇を取る。 その私の行動が……お前はつまらないというのか!?」 男の言葉に対して、湧き上がった驚きや怒りが混ざった不愉快な感情。 自分がこの殺し合いでやらなければならない行動を真っ向から否定した男。 そんな目の前に立つ不快な男との距離を、一歩一歩確実にチンクは詰める。 まさに一触即発ともいえるこの状況。 両者の視線が互いに衝突し合い、見えない火花が飛び散る。 「その通りだ。復讐に固執する限りシグマというあの男にも、俺にも勝つコトはできない」 「ならば覆してやる……そう、私がお前を倒すコトで!」 再度放たれた男の言葉を受け、チンクが走り出す。 両腕には依然銀色の光を帯び、しっかりと握られたナイフ。 そのナイフを全力の力で男の身体を切り裂き、突き刺すためにチンクは疾走する。 自分の行動を嘲笑うかのように、言葉を言い放った男を後悔させるためにも。 「いいだろう。俺がお前に闘い方を教えてやる。そして――」 迫り来るチンクを、男は観察しながら言葉を発する。 チンクにはナイフという武器があるが、男には支給されたPDAのみ。 だが、男には何も恐れるものなどない。 彼には昔、手に入れた掛け替えのないものがあるからだ。 正義のために生き、闘い、そして今もBADANとの闘いを続けている男。 その男の名は―――― 「この風見志郎が教えてやる、復讐の力がいかにちっぽけなものだというコトをな」 風見志郎。 そう。男の名は風見志郎といった。 人体を機械の身体に改造した一人の改造人間がその場に立っていた。 「ハッ!」 両腕を力一杯振り、両腕に握ったナイフをチンクは志郎の方へ投げる。 チンクの腕から放たれたナイフの数は合計四つ。 四本のナイフが志郎の元へ向うが、彼は僅かに左右に身体を逸らす事で回避する。 だが、そんな志郎の行動もチンクの計算の内であった。 常人とは違う存在である戦闘機人が誇る、優れた身体能力を引き出し、チンクが志郎との距離を一気に詰めきる。 その両腕には血に飢えたナイフが二本。 力を込め、チンクは右腕に逆手で握られたナイフを右斜め上から志郎に向って振り下ろす。 「ちっ!」 「なかなかの速さだが踏み込みが甘いな……なっていない」 完全にターゲットを捉えたハズの一閃。 だが、チンクのその一閃は志郎が後方に足を引いた事で難なく避わされる結果となった。 会心の一閃どころか、自分のナイフが志郎にかすりもしなかった事にチンクは驚く。 しかしチンクは咄嗟に左斜め下に崩れた体勢を整え、今度は左腕に力を込める。 「ハァァァァッ!」 たった今、後方へ傾いた志郎の腹部にチンクは狙いを定める。 ゼスト・グランガイツ、スバル・ナカジマなどといった強敵との実戦で培われたチンクの戦闘センス。 その戦闘センスに戦闘機人として調整された反射能力が合わさり、チンクの左腕が突き出される。 勿論、その腕に握られたものは二本目のナイフ。 チンクの左腕と共に一切の揺れも生じさせず、ナイフが志郎の身体に向って突き進む。 一瞬の間も置かない連続の斬撃を行えた事にチンクは確かな手ごたえを感じた。 今度こそ捉えた、チンクはそう確信したが―― 「なんだと!?」 「次の動作への入り方も悪くはない。だが……」 志郎はチンクの動作よりも速く地を蹴り、跳躍し彼女の頭上を飛び越えていた。 空中で綺麗に一回転を行い、志郎はチンクの後方へ両脚から降り立つ。 跳躍した志郎の方へチンクは急いで振り向き、両腕のナイフを構える。 ISのような技能を使用したのかとチンクが思ってしまうほど、志郎の身のこなしに彼女は警戒を強めた。 「やはりお前の攻撃からには恐怖を感じるコトはない。 復讐の力など……所詮この程度だ」 そう言い終った途端、志郎は数歩の助走を経てチンクへ飛び掛る。 いくら正義のために闘う志郎であれども、全く反撃をしないわけもない。 チンクとの距離はそれほど離れていたわけはなかったため、一瞬で彼女の目の前に辿り着く志郎。 志郎の左腕が振るわれた事でチンクに繰り出された一撃の拳。 その拳をチンクは、先程志郎がやってみせたように後ろへ飛びのく事で回避する。 「こちらが本命だ、トオ!」 だが、空を切った左拳はあくまでもフェイント。 本命である右脚を振り上げ、チンクの頭部へ向けて志郎はハイキックを繰り出す。 予想以上に速い志郎の連撃に反応し切れなかったチンク。 そんな彼女は両腕をクロスさせ、防御の姿勢をとる。 今まさに繰り出そうとしている一撃目で、防御の姿勢を解き、更に追撃の一撃で沈黙させようと志郎は思考を走らせる。 「ムッ!これは!?」 「私を甘く見るな!」 しかしここにきて初めて志郎は驚きの声を上げ、驚愕の表情を浮かべる。 何故なら突如チンクの周りに黄色の色を帯び、円錐型をした障壁のようなものが展開。 その障壁が志郎の右脚を阻んでいたからだ。 障壁の正体はナンバーズ全員が発動を行える防御障壁。 たとえ改造された志郎の右脚といえども打ち破るのは容易ではない。 「復讐だろうがなんだろうが……私は妹のノーヴェを守り、セインの仇を討つ!」 今度は自分の反撃と言わんばかりに、チンクは再びナイフで志郎へ斬りかかる。 防御障壁の特性に思わず驚いていた志郎は、遅れながらも回避。 更にもう一閃のナイフさえもチンクから距離を取る事で志郎は難を逃れる。 「あの子が感じた痛みは決して忘れない……」 そんな時、志郎は何か後方で小さな音が響いているのを感じ取り、後ろへ視線を向ける。 志郎が感じた正体、それは先程チンクが投げた四本のナイフが再び空を切り、彼の元へ向う事で生じる音であった。 チンクにはナイフのような物体を完全に自由にとはいかないまでにも、操作する能力がある。 予想もしない再度のナイフの襲撃に、志郎は回避するべく横方向へ飛びのく。 目的地となる標的を失ったナイフが音をたてて地に突き刺さる。 だが、流石に反応が遅れたため志郎の左腰に一本のナイフが過り、赤い鮮血が地へ滴った。 「それが……それだけは……!」 咄嗟に更に隠し持っていたナイフを四本取り出し、チンクの両腕に握られたナイフは再び六本となる。 大地を蹴り飛ばし、後方へ一回転を行いながら跳躍するチンク。 その全てのナイフをチンクは一瞬、頭上にかざしたかと思うと即座に投擲を行った。 上方向から空を切りながら、志郎の方へ肉を、血を求めて殺到する六本のナイフ。 だが、志郎の反射能力、動体視力も到底平凡なものなどではない。 左腰の負傷など何も気にする様子もなく志郎は回避し、六本のナイフが地に突き刺さるが―― 「私がセインにやってあげられるコトだ、あの子の姉としてな!」 六本のナイフが、いや先程の四本のナイフまでもが突如として音を立てて爆発する。 一つのナイフの爆発が起きれば、間髪を入れず他のナイフが爆破する多重爆破。 体勢を崩していた志郎の身体を爆煙が包むのは一瞬の事であった。 「くっ……使いすぎたか」 段々と冷静さを取り戻してきたチンクは不機嫌そうに愚痴る。 使い慣れたスティンガーの数が十分に持ち合わせていない現状では手持ちの数を減らすべきではない。 そんな判断を下したチンクであったが、志郎の予想以上の力に焦りを覚え、即急に勝負を付ける事に決めていた。 そう。彼女のISという固有技能の一つであり、触れた金属を爆発物に変え、自由に爆発出来る能力“ランブルデトネイター”。 あまり自分の手の内は晒したくはなかったが、晒してしまったものは仕方ない。 冷静に今後の行動を考えながら、サイクロン号の元へチンクは歩き始めた。 「それがお前の力か? なかなか興味深いが……まだだ、まだ足りない」 「なに! どこだ! どこに居る!?」 しかしチンクの耳に突然倒したハズの志郎の声が響き、チンクは爆発を起こした場所へ目をやる。 だが、志郎の身体はそこには存在していない。 まさかあの爆発で生きていたのだろうか? そう焦る気持ちを抑えながらチンクは周囲に油断なく、視線を回し続ける。 「ここだ」 その時、再び響いた志郎の声を聞き、チンクは声のする後方へ頭を向ける。 チンクの頭が向いた方向は左でもなく右でもなく上方。 一本の大木の太い枝に志郎が腕を組み、悠然と立っていた。 「それを今実感させてやろう……この風見志郎がな」 そう呟くや否や志郎は構えを取る。 ――開いていた脚を少し閉じ、両腕を肩と水平の高さで、左へ伸ばす。 ――両脚を開き、同時に左へ伸ばしていた両腕をそのままの高さで右へ向け、腰を少し右に回す。 ――伸ばした両腕を頭上で回し、今度は左斜め上方向へ伸ばし、右脚を少し左側に傾ける。 ――握り拳を作りながら右腕を腰の高さまで引き落とす。 ――落とした右腕を勢い良く、左斜め前方に突き出し、同時に伸ばしていた左腕を握り拳をつくりながら腰の高さまで持っていく。 「変身――――――――――V3!!」 志郎がそう叫んだ瞬間、チンクは思わず眼を見張った。 彼の腰に何か風車のようなものを二つ持ち、“V3”と刻まれた白いベルトが出現した事がチンクの脳裏にこびりつく。 そしてベルトの風車が、ダブルタイフーンに内蔵された力と技の二つの風車が回転する。 風車の回転の勢いが最高値まで到達した瞬間、赤い閃光が周囲に広がっていく。 「トオオ!」 何が起こったかを確認するため、チンクは再び志郎の声が響いた方向へ視線を向ける。 ダブルタイフーンがなんらかの質量兵器かと思っていたチンク。 そんなチンクの表情が驚愕の色を浮かべる。 「き、貴様は!?」 何故ならたった今まで、只の人間とは変わらない体格、外見をした志郎。 その志郎が起動六課の面々が使うバリアジャケットによる、外見の変更とは較べものにならない程の変貌。 そんな現実では有り得ない変貌を志郎が、一瞬で完了した事はチンクに衝撃を与えるのには十分だった。 緑色の外殻に覆われ、白と赤で彩られた胸と胸部まで覆った強化装甲。 トンボを模した赤い仮面に伸びた二本の触角、二つの緑色の複眼、白色のクラッシャー。 そして左右後方へ伸びた白一色のマフラーをたなびかせながる異形の者。 その男がチンクに向って飛び掛る姿がチンクの視界に入っていた。 「仮面ライダーV3……それが今の俺の名だ」 風見志郎、いや悪の組織デストロンの野望を叩き潰した男。 技の1号、力の2号からその正義の魂を受け継いだ第三の男が口を開く。 “仮面ライダーV3”、その誇り高き名を持つ男が変身を完了し、チンクに肉迫する。 「お前はあいつに似ているな……そして昔の俺にもな……」 「くッ!」 右脚を向け、恐るべき速度で迫り来るV3。 ナイフによる迎撃は不可能と判断した、チンクは再び両腕を交差させる。 その瞬間、黄色を帯びた障壁が再び発現。 先ほど志郎の右ハイキックを防ぎきった障壁がチンクの周囲に広がる。 V3の伸びきった右脚と十分に展開しきった障壁が激突した。 「だからというわけじゃない、だがお前をこのまま野放しにするのも気が引ける。 ただそれだけだ……」 「意味のわからないコトを……私は、私は負けるわけにはいかないんだ!」 先程の生身の時とは段違いに重いV3の右脚によるキック。 だがチンクも負けてはいない。 彼女にも負けられない理由があるからだ。 ノーヴェを守り、セインの無念を晴らすためにシグマを破壊する。 決意を燃やし、先程よりも障壁を強め、チンクはV3の侵攻をくい止める。 火花を散らしながらV3の右脚とチンクの障壁が均衡状態を保つ。 「それがお前のプライドか、ならば――」 仮面に隠された表情に一片の変化も見せず、V3が呟く。 V3がそう呟いた瞬間、彼は障壁を蹴飛ばし反転を行い、後方へ背面跳びを行った。 攻撃を諦めたのか? 一瞬チンクはそう思い、障壁を解き、ナイフを構えようとする。 だが自分のその行動は無意味な事だとチンクは悟り、すぐさまもう一度障壁を発現。 何故ならV3の攻撃は未だ止んでいない事にチンクは気付く事が出来たからだ。 「V3――――――――――」 空中で全身に回転をかけ、V3の身体が一回転を行い宙に舞う。 そして空中で弧を描いたV3の身体が真っ直ぐ、再びチンクの元へ迫る。 右脚を突き出し、同じように真っ直ぐチンクに向けたまま。 トンをも超える衝撃を蹴り放つV3の屈強な右脚とチンクの視線が一直線に合う。 「反転キィィィィィィック!!」 たった今V3が叫んだ、V3 26の秘密の一つ。 V3反転キックがチンクの障壁に文字通り突き刺さる。 只でさえ重い威力が、一度反転を行う事で更に重くなるV3反転キック。 「こ、この力は……」 今までV3の攻撃を抑え続けていたチンクの黄色の障壁。 その障壁に亀裂が一つ、また一つ増えていく事にチンクは驚きを隠せない。 このままではやられる。 そう判断を下し、チンクは更に障壁に硬度を加えようと試みる。 だが、そんな時彼女の表情にここ一番の驚きが映った。 「これが俺のプライドだ」 何故ならV3反転キックが障壁を完全に打ち破り、チンクの交差された両腕に蹴り込まれる。 いくら障壁で威力が落ちたといえども、正真正銘の強化改造を受けた改造人間の飛び蹴り。 只では済まない衝撃が予想される蹴りを受け、チンクの小柄な身体が後方へ吹っ飛ぶ。 咄嗟に受け身を取る事で、チンクは急いで体勢を戻す。 「くそ……こんなところで……」 しかし驚いた事にチンクの身体には目立った損傷は見受けられていない。 だがチンクの表情はハッキリと青ざめている事がわかる。 何故ならシェルコートがない現状では、防御技能ハードシェルが使えず、使い慣れたスティンガーもない。 そして何より自分とはまるで次元が違う戦闘力を誇る志郎の強さにチンクは本能的に感じていた。 自分では到底かなわないという事を。 だが、意外にもチンクには目立った外傷はない。 障壁の助けもあっただろうが、一番の理由は他にあった。 そう。チンクがV3反転キックを受けても、ほぼ無傷であった理由。 「もういい。これ以上俺はお前とやりあうつもりはない。それよりも――」 それはV3が手加減を行っていたから。 流石に障壁を破る時にはそれなりの力を込めていたが。 何故志郎がチンクにトドメをささないのか? その理由は至極簡単だ。 「俺と共に行動すれば、サイクロン号に乗せてやる。 俺にはこの殺し合いに乗るつもりなどないし、お前を倒すつもりもないからな」 V3には優勝の褒美などには全く関心はない。 彼がこの場で行う事、それは一人の見ず知らずの機械を持った少女を殺したシグマの打倒。 そのために彼がやらなくてはいけない事。 それは信頼すべき仲間である本郷猛、神敬介、城茂との合流。 ほんの少しの不安要素は残るが合流すべき存在と思われる村雨良との合流。 未だ見ぬ、志を同じくする同志を発見し、協力もしくは保護を行う事。 そしてもう一つ。 「俺がノーヴェという妹に会わせてやる……なにがあってもな」 それは妹を失った一人の少女の支えになってやる事。 変身を解いた志郎の言葉を聞いた時、チンクの胸に何かこみ上げてくるものがあった。 不快感はない。只、何故か安心さをチンクは感じた。 目の前の志郎の言葉がとても力強いものだったから。 ◇ ◆ ◇ 「ならば暫くは互いの知り合いを探し、殺し合いに乗ったヤツは倒す。その方針で問題ないな、チンク?」 「ああ、殺し合いに乗ったヤツがノーヴェやあの二人に危害を加えるかもしれんからな。私はそれで構わない」 「わかった。ならしっかりと掴まっておけ」 「了解した。頼むぞ、カザミ」 サイクロン号を運転する志郎の言葉にチンクが答える。 彼ら二人には優勝して、褒美を貰うという考えは毛頭ないため互いに協力する事に決めた。 また二人は情報交換を行い、互いの知り合いと身の上についての確認も既に終わっている。 その際、互いの世界の常識があまりにも違いすぎている事に違和感を覚えたが、今はその事を保留しておく事にした。 今現在の彼らがやるべき事は互いの世界の違いについて考察するよりも、仲間と合流する事だからだ。 そしてチンクの能力には金属が必要であり、金属を補充するため北東へ向う事にした。 そう。スクラップ工場や修理工場、そして何も目的地がなければゴミ処分場を周るといったルートである。 (このカザミという男……悪いヤツではなさそうだが未だ完全には信用できんな。 念には念を越したコトはない。一応用心しておこう) 先程闘った志郎についてチンクは思考を走らせる。 完全には信用できないが、戦闘機人である自分さえも上回る志郎の力。 更に志郎には同じような仲間が未だ居るらしく、彼らも決して殺し合いに乗る事はないという。 どうやら彼らのコードネームは“仮面ライダー”というらしい。 自分のメモリーにはないコードネームだが、何故か安心できるその名前。 その中の一人がノーヴェを保護してくれていたらとチンクは無意識的に祈った。 (しかしカザミは私と昔の自分が似ているといった……だが彼は復讐に拘るなともいった。 わからないコトだらけだ……彼のあの強さはどこから来るのかも。 けど今は……) あの時言った言葉の真意をいつか聞いてみようとチンクは心に留める。 身体をバネのように使い、あまりに重い蹴りを放つ自分の同行者である志郎。 彼の力の源がどこから来るのかは気になる。 だが、今のチンクにはやるべき事がある。 (シグマ……貴様だけは絶対に破壊してみせる。たとえ私の身体が砕けようとも絶対にな!) 只ひとえに揺ぎ無い意思を突き通す事を。 (やはり通信は無理か、だがあいつらなら問題ないだろうな。気になるのはZXだが……いや、ヤツならもう大丈夫か) PDAの名簿に記された仲間達の事を考え、志郎はこれまでの事を振り返る。 志郎は四国の大空に浮かぶ大首領の門に火柱キックを仕掛けようとしていたハズであった。 それが何故か意識が回復し、目を覚ました時にはあの初めの場に居た。 最早ボロボロといえる、自分の身体とダブルタイフーンが完全に修復されていた事には流石の志郎も面食らった。 そしてPDAの操作を一通り覚え、支給されたサイクロン号を走らせていたというわけだ。 (俺の身体を修復してくれたコトには礼を言おう。だがそれで貴様の足元がすくわれるかもしれんがな) 恐らくは全力で敵と闘えという事を暗に意味した事なのだろう。 そうでなければわざわざ死に掛けの身体を修復させる必要もない。 しかし戦闘の時、志郎は自分の身体の動きがいつもより重い事を感じた。 何か自分の身体にいつもより負荷がかかるように改造を施されたのだろか? だが、それなら損傷を直す必要もないハズだと志郎は考えた。 不可解なシグマの行動に志郎は眉を顰める。 (それにあのシグマという男の目的はいまひとつ解せん……何故これほどまでに面倒な手を取る?) 更にこの転送技術を用いたPDAといい、あまりにも手の込んだ事を行うシグマにも疑問がある。 ただの殺し合いをさせるつもりならこんな小細工などせずに、隔離地帯に放りこめばいいだけの話だ。 いずれにしても、いつかはシグマの真の目的も解く必要があるという事を志郎は記憶に留めた。 そのためにはどうやらシグマとなんらかの関係があるXと呼ばれた男、そして彼と話していた赤い男と接触する必要がある。 そう考えに耽っていた時、志郎はふと別の事を考え始めた。 (このチンクという少女……フッ、昔のコトを思い出すとはな。だが今は……) 妹を無残にも失い、昔の志郎にとってとても馴染み深い眼をしたチンク。 そんなチンクの姿が記憶を取り戻したばかりのZX、そして家族を殺された昔の自分とダブった事を志郎は自嘲気味に考える。 あの時の志郎は只、デストロンへの復讐のために仮面ライダー1号、2号に力を求めた。 だが、それだけでは足りない事を知り、今の志郎は仮面ライダーV3と闘い続ける事が出来ている。 以前の自分のように妹の復讐に身を焦がしている節があるチンク。 チンクにもいつか復讐よりも大切なものを知る事が出来る時がくるかもしれない。 そんな淡い期待のような感情を僅かに持ち、志郎は決意を固める。 (これ以上守るコトができるものを失わせるわけにはいかん。 そのためにも……シグマ、貴様には覚悟を決めてもらう必要がある!) サイクロン号が走る。 血の通らない機械を、身体に埋め込んだ青年と少女。 サイクロン号が二人の決意を乗せて疾走し続ける。 【F-5北東部 通路上 /一日目 深夜】 【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 [状態] 中程度の疲労、両腕に軽い痛み、固い決意 [装備]:ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス(20/30) [道具]: 支給品一式、不明支給品0~2(未確認) [思考・状況] 基本: ノーヴェを守り、シグマを破壊する 1:志郎と共に本郷・敬介・茂・村雨・スバル・ギンガ・ノーヴェを探し、合流する。 またノーヴェを最優先にする。 2:殺し合いに乗った危険人物には容赦しない 3:スティンガー、シェルコートを手に入れる 4:北東へ向い金属を集める(優先順位は低い) [備考] ※参戦時期は本編終了後です ※優勝者の褒美とやらには興味がなく、信用していません ※志郎と情報交換をしました、また完全には志郎の事を信用していません 【風見志郎@仮面ライダーSPIRITS】 [状態]:左腰に小さな裂傷、全身に軽い火傷、固い決意 [装備]:サイクロン号(1号)@仮面ライダーSPIRITS [道具]: 支給品一式、不明支給品0~2(未確認) [思考・状況] 基本:殺し合いを破壊し、シグマを倒す 1:チンクと共に本郷・敬介・茂・村雨・スバル・ギンガ・ノーヴェを探し、合流する 2:殺し合いに乗った危険人物には容赦しない 3:シグマの真の目的を探る。そのためにエックスと呼ばれた男、赤い男(ゼロ)と接触する 4:弱者の保護 5:北東へ向い金属を集める(優先順位は低い) [備考] ※参戦時期は大首領の門に火柱キックを仕掛ける直前です(原作13巻)。また身体とダブルタイフーンは元通り修復されています ※チンクと情報交換をしました ※なんとなくチンクを村雨、そして昔の自分に重ねている節があります 時系列順で読む Back ロボット刑事と少女事件屋の巻 Next 秩序と蓮花 投下順で読む Back ロボット刑事と少女事件屋の巻 Next 秩序と蓮花 000:オープニング チンク 035 なくすものがないぼくたち(前編) GAME START 風見志郎 035 なくすものがないぼくたち(前編)
https://w.atwiki.jp/ybgbaki/
https://w.atwiki.jp/ybgbaki/pages/4.html
https://w.atwiki.jp/ybgbaki/pages/7.html
https://w.atwiki.jp/ybgbaki/pages/6.html
https://w.atwiki.jp/shareyari/pages/151.html
作者:月下の人 ◆WXsIGoeOag 【前作】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【次作】
https://w.atwiki.jp/garei0/pages/26.html
『喰霊-零-』第03話「邂逅 砌 -かいこうのみぎり-」 キャスト 諌山黄泉:水原薫 土宮神楽:茅原実里 飯綱紀之:高橋伸也 神宮寺菖蒲:相沢舞 二階堂桐:土谷麻貴 桜庭一騎:白石稔 岩端晃司:稲田徹 ナブー兄弟:若本規夫 土宮雅楽:小村哲生 諌山奈落:麦人 先生:吉開清人 各話スタッフ 脚本:高山カツヒコ 絵コンテ・演出:別所誠人 作画監督:牧野竜一 総作画監督:堀内修 モンスター作監:栗田新一 ブロップデザイン協力:田村勝之 動画チェック:堤雄基 色指定検査:橋本明美 特殊効果:渡辺弘信 美術担当:三宅久仁子、大石雅美 撮影チーフ:藤田智史 CG制作:スタジオガラパゴス CGプロデューサー:小林真吾 モデリング:小林淳男 制作デスク:田村司、古屋暢 制作デスク補佐:長野俊之 設定制作:織田恭子(AICスピリッツ) 制作進行:小林世界 文芸:小鹿りえ 原画 横田拓己 下司祐也 谷 拓也 山本周平 大田優喜 栗田聡美 松下清志 栗田新一 北島信幸 橋本敬史 牧野竜一 別所誠人 第二原画 古島 勝 大島良介 宮本雄介 高橋英宣 動画 AICスピリッツ古島 勝 大島良介 宮本雄介 石原美保子 奈須一裕 内丸貴美子 高橋英宣 杉本悠真 福地友樹 高橋瑠衣子 AICデジタル秋葉奈美恵 手島未来 鈴木 勇 石川 孝 住矢祐樹 宮下祥介 アスリード大久保歩美 久保田麻衣子 永田善敬 片山希美 フロントライン スタジオ旗艦 ufotable Studio DEEN F.A.I.INTERNATIONAL 彩色 AICスピリッツ橋本明美 友野亜紀子 AICデジタル渡辺夏海 片山靖子 羽田圭未 スタジオロン スタジオエル ファンアウト フロントライン ライジングフォース 玉沢動画舎 Triple A D-COLORS F.A.I.INTERNATIONAL 背景 プロダクション・アイ岡本若菜 松澤里笑 渡辺 紳 河合文江 小川めぐみ 中原 翔 中山裕紀子 相馬みどり 撮影 スタジオトゥインクル澤田浩司 大井勝利 小西傭平 川上大仁 武舎好広 中山麻希子 菊地大介 小泉和也 CG作成 阿部由美子 遠藤眞一郎 角矢亜希子 川島健司 小川実希 三田寛久 テーマソング 『Paradise Lost』 作詞:畑 亜貴 作曲/編曲:菊田大輔 歌:茅原実里
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/44884.html
登録日:2020/05/07 (木) 18 25 55 更新日:2024/06/24 Mon 19 13 22 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 コンドーム バキシリーズ バキ道 力士 化け物 大関 巨人 巨漢 巨鯨 巨鯨(バキシリーズ) 怪力無双 相撲 神技合気を力で跳ね返した人類初の男 色黒 俺らは大相撲ですから 「魔法」くらいはハネ返さんと 巨鯨(きょげい)とは、バキシリーズ第五部『バキ道』に登場するキャラクター。 ●目次 概要 人物 実力 作中の活躍 余談モデル オリバとのパワーキャラとしての比較 概要 金竜山の挑発による挑戦を受けた大日本相撲協会が送り込んだ力士の一人。 バキシリーズでは定期的に登場する「超巨漢」ファイターの系譜にも入るであろうキャラクターでもある。 バキ道では渋川剛気のライバルキャラとしても位置付けられており、キャラ像的にも渋川の対極の位置に構えるキャラとして描かれている。 バキシリーズでは「巨漢=かませ犬」の法則があるので読者からは案の定色々と心配された 人物 劇中で「まさに巨人………!!!」と言わしめた身長231cm・体重290kgの巨漢。アンドレアス・リーガンやジャック・ハンマー(『刃牙道』時点)には及ばないが、刃牙世界ではトップクラスの大きさ。 異様な身体の大きさや肌の黒さから外国人力士のように思えるが、本人の回想を見るに日本人力士らしい。 番付は大関。地下闘技場に挑む力士の面子の中では実質的にナンバー2の立場にいる。 力士故に戦闘中にあまり喋るタイプではないが、感性的にはグラップラーにありがちな邪悪な面が特に見られず普通の好漢という人物。渋川を心配したがそこに付け込まれてしまった。 自身の取材中にサインを貰いに来た子供にも素直に対応するなど、スポーツ選手としてのファンサービスも良い。 性格的にはそれなりに好漢だが、大相撲の強さを知らしめたいという理由で一度は異種格闘技戦を行いたいと闘争心も秘めている。 猪田への攻撃を見るに、手加減をしない質なのか相撲の強さを見せつけたい願望があったのか不明。 ちなみに、渋川の合気を発動した状態を「コンドーム」と表現するなど、力士としては妙に独特な感性を持つ一面も見せる。 実力 「デカいにも程があるッッ」「なのに鍛えてしまった アン フェアッッ」との評。 体重47kgを直球で投げる剛力を持つが、なんと渋川の合気を怪力で無理矢理打ち破ってしまうという何気に前代未聞なスペック。 渋川の合気を力で潰すという突破方法は刃牙シリーズ屈指の筋肉男であるビスケット・オリバですら不可能だったため、オリバを大きく上回るパワーの可能性が高い。 と言うかバキ道の看板キャラの宿禰ですら無理だったんですがそれは…。 合気を返したその剛力は、片腕時代に渋川と組み手をよく行っていた克巳を驚かせている。 主人公の刃牙も最初は巨鯨を投げ返す渋川の合気に感心していたが、後に「合気って力で返せるんだ…」「てか合気を返す「力」って存在するんだ…」と唖然とした。多分お前の親父も返せるぞ 馬鹿力を発揮するため原動力の巨体だが、意外にもその身のこなしは軽いので機動性も高い。 そして技術面も結構長けており、初見の合気による投げ技を足を上手く使って何とか逃れるという対応力を見せている。 合気に耐えるまでの流れを自身で「混乱していた」と振り返っているが、裏を返せば混乱しながらも合気に耐えるための策を取れるという証拠でもあるだろう。 身体スペック的には何故地下トーナメントに挑まなかったのかというくらい滅茶苦茶な強さだが、「大関」である彼は相撲界ではトップの立場ではない。 嵐川理事長曰く、横綱の零鵬と格上キラーの関脇・獅子丸にはその大きな身体を投げられた経験があるとのこと。 逆に言えばその二人以外からは投げ技で負けた経験はないようだが、結果として零鵬がいかに化け物かという話である…。 作中の活躍 地下闘技場に挑む為に幕内力士全員が出場を希望する中で、相撲協会から選定された6人の力士の一人として登場。 徳川によって、嵐川理事長や他の力士と共に地下闘技場に案内される。 そして、徳川から送り込まれた日本巨漢の格闘家の猪田火飲(189cm・110kg)をハイキックが当たる寸前で突き一発で柵にぶち込んで圧勝した。 そして組まれた地下戦士VS日本相撲協会力士代表の試合では、渋川との対戦が決定する。 渋川の身体は155cm・47キロなので巨鯨相手には実に6倍を超える体格差であり、巨鯨も流石に困惑の汗を浮かべていた。 掴んで張り手一発で試合を終わらせようとするが、渋川を掴んだ瞬間に一度も体験した事のない感覚を覚える。 混乱して慌てた巨鯨は張り手を浴びせようとするが、逆に動作を利用される形で投げ飛ばされかけてしまう。 しかし、巨鯨はその巨体を空中で捻りながら片足を使って着地を決めるという方法で合気を間一髪避ける。 合気から逃れた巨鯨は仕切り直して突進を仕掛けるが、またもや渋川に技術で転ばされ掛ける。 それでもなお倒れなかった所に喉への一突きを浴びせられるが、致命傷にはならずにカウンターで張り手を渋川に仕掛けた。 両者致命傷を与えられない中、渋川の提案で組んで戦うことを提案され、喜びながら組みついた。 組みつくも合気の力によって渋川を動かすことが出来ず、後に語った巨鯨曰く「水を入れたコンドーム」を背負わされた気分に陥る。 それでも力士としてのプライドを見せ、馬鹿力で合気を解除して渋川を投げ飛ばすというメチャクチャ強引な手法で打ち破った。 渋川が着地したことでダメージにはならなかったが、再度組み始めた渋川の合気をまたもや馬鹿力で解除し、張り飛ばしを行う。 今度は着地が出来なかった渋川は観客席に大きく激突し、義眼が露出する大ダメージを受けた。 義眼が飛び出た渋川に対して情けとドン引きの感情に襲われたのか、降参を促すような態度を見せる。 しかしそれが渋川の逆鱗に触れ、残酷な地下戦士としての本性を現した相手に困惑に襲われる中で報復で左目を指で潰されてしまう。 「ガチョッ」という音がする中で、後頭部に飛び蹴りを受けた上に鼻穴に指を突っ込まれ、鼻腔の痛点を「廻し」と見立てた出し投げを受けて地に沈んだ。 その光景を見た徳川が勝負ありの判定を下すが、身体的にはまだ余力はあったようで立ち上がる。 しかし、圧倒的な体重差がありながら何度も恐怖心に慄いたことや土に付けられたことを理由に「敗北以下」と自虐しながら負けを認めた。 (徳川の判定にも疑問があり、たった一度の負傷で負け判定するなら今までの渋川のダメージは何なのかと言える) 敗北こそしてしまった巨鯨だが、試合内容だけ見れば「合気」に対しては勝利したという結果にもなった。 「神技合気を力で跳ね返した人類初の男」と実況からも評され、観客席からも強く讃える歓声が飛び交う中で一礼しながら退場していった。 渋川も試合が終わってもなお手の震えが止まっていない事実を独歩に告白しており、同時に力士が化け物揃いであることを忠告するのだった。 ちなみに、渋川によって大きな損傷を受けた左目を初めとする器官は無事だったのかどうかは不明。 試合中に行われた試合後のインタビューを見るに完治しているようだが、刃牙道での大塚平兵衛のインタビューの例があるので何とも言い難い…。 余談 顔の造形は範馬勇一郎やバラク・オズマと似ている。三人とも好漢で前代未聞の偉業を成し遂げた(勇一郎は言わずもがな、幽霊として現れた事もシリーズでは初でピクルも怖気づかせた、オズマは黒人初の米国大統領に就任)。また、巨漢ながら素早い身のこなしも持ち合わせるという部分も勇一郎と似ている。 モデル キャラのモデルは明言されていないが、生月鯨太左衛門ではないかと言われている。 生月鯨太左衛門は江戸時代の伝説の力士であり、身長は227cmで体重は169kgもある人物だった。 巨鯨とは身長が近く、名前の漢字にも共通点が見当たる。体重面ではかなり違うが…。 ハワイ出身の昭和の巨漢大関・小錦八十吉もモデルの一人ではないかとする説もある。 この小錦は昭和当時は大相撲史上最重量の巨体を持ち、身長は巨鯨には及ばないが体重面に関しては近い数字である。 オリバとのパワーキャラとしての比較 超怪力キャラとして登場した上に渋川の技を破ったことにより、オリバのパワーキャラとしての株がさらに厳しくなったとの意見も出ている。 まあ巨鯨が登場するよりも前に、オリバでは無理だった宿禰を相撲で動かす事を達成している路上の大関がいたのだが…。 一部ファンからは「アメリカ政府はオリバよりも刃牙世界の力士を衛星で監視しろ」との声も。(*1) オリバは『バキ』~『範馬刃牙』にて非現実的な怪力を見せていたため、「体重47kgを直球で投げる剛力」というオリバでも可能そうな能力の巨鯨の方がパワー設定が上という現状に批判的なファンもいる。 これらの批判に対するフォローとしては「パワー自体はオリバの方が上だが、パワーを伝える技術面では巨鯨の方が上なのではないか」「克巳の表現はあくまで彼のたとえ話」などの見方もある。 メタな視点で言うと、実質的な完結編として描かれた事で描写が極限にインフレした範馬刃牙以降もシリーズが続いているため、パワー描写がデフレしている事情もあるのかもしれないが。 オリバに関しては相撲というフィールドではパワーを殆ど発揮できないという解説は作中ではあるので、戦闘能力は一概に比較できないのかもしれない…多分。 とにかく、機会があればオリバと巨鯨の怪力対決を見たいという声もちらほらと出ている。 おいおいなんて追記・修正だい……!? Wiki篭りの風情じゃねーかッッ △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] バキの敵キャラは基本後になるほど尻すぼみになっていくからな。内容的に巨鯨が一番強キャラだったとかならないと良いが -- 名無しさん (2020-05-08 00 12 52) スクネより先にこいつの記事ができるんかw -- 名無しさん (2020-05-08 00 54 55) 巨鯨こそがバキ道の真の主人公だった…? -- 名無しさん (2020-05-08 09 55 06) オリバより怪力というより筋肉の質が違うってことじゃないかな。力士の筋肉は競技の性質上短期決戦に特化してるから瞬間的なパワーではオリバより上だけど持久力とかを含めた総合的な筋力はオリバの方が上とか -- 名無しさん (2020-05-08 15 33 56) 正直最近のバキ世界の強さ議論ほど無意味なものはないな -- 名無しさん (2020-05-09 08 56 04) 強いのに性格がまともな昨今の刃牙では貴重な人 -- 名無しさん (2020-05-09 10 10 22) 名前が癖になるねこの人 -- 名無しさん (2020-05-10 23 00 05) 勇一郎と巨鯨大好き。烈みたいな人気者になってほしい。 -- 名無しさん (2020-06-05 01 53 15) オズマも好き -- 名無しさん (2020-07-09 14 29 32) 膝悪くするやつだろこれ -- 名無しさん (2020-08-15 14 26 31) 渋川がクズすぎる。 -- 名無しさん (2021-08-09 19 44 20) 宿禰や蹴速が出てきた後でもこいつの闘いが1番なんというか「スゴ味」があったな 死刑囚編のスペックみたいなもんだ -- 名無しさん (2023-06-05 04 28 11) こいつと猛剣の方がすっくんとけっくんより良いキャラしてるのがなぁ -- 名無しさん (2023-12-29 00 47 20) オリバは無理でも勇二郎なら合気を力で返せそう。(ピクルも) -- 名無しさん (2024-05-10 19 15 51) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aaabbb2/pages/47.html
「悪いわね、休みの日に」 ミサトさんは開口一番、そう言った。 顔には、若干の緊張感が混じっている。 一歩、部屋への道を踏み出した僕は、次の瞬間、唖然とした。 「ミサトさん…、汚しすぎですよ…。」 そんなわけで、ミサトさんとちゃんと向かい合って座ることができたのは、 それから2時間半が経ってからだった。 僕が前回大掃除をしてから10日も経たずにここまで散らかすことができるのは、 ある意味天賦の才があるとしか思えない。 でもミサトさんはそのせいか、幾分リラックスしたような表情で、 今日は珍しくスコッチウィスキーなんて飲んでいる。 「シンジ君も、どう?ラフロイグだから、結構キツイけど…。」 「僕も、好きですよ、ラフロイグ。」 テーブルの上に、オンザロックのグラスが2つ。 もうすぐ日付が変わろうとしている。 「さて、」 ミサトさんが遂に切り出した。 「どこから話したらいいのかな…。」 ミサトさんはゆっくりとアスカとの話し合いの場面から語り出す。 その内容を僕はもう知っているけれど、1つ1つ頷きながら彼女の話を聞いた。 「アスカの願いとは言え、今まで黙っててごめんなさい。」 ミサトさんも歳をとったな、と思う瞬間がいくつかあって、 今はまさにそれだ。 僕たちが大人になるにつれて色々と学び、吸収してきたもの、 ミサトさん経由で得たものが一番多かったし、大きかった。 僕やアスカはミサトさんの背中を見て育ってきたんだ、 という思いがふいに湧きだしてくる。 ミサトさんも僕たちが学び、成長している間に色々学び、成熟したのだと思う。 彼女の悩みにまだ僕は気づいてあげられなかった。 気づいたところでどうしようもなかったかもしれないけれど。 「ミサトさん…、」 僕は、逃げない。 「アスカは、どこにいるんですか?そして…」 ミサトさんの目を真っ直ぐに見つめて、言葉にする。 「彼女は無事なんですか?」 ミサトさんの意を決した表情から、次の言葉が出てくるまでの瞬間が、 とてもとても長く感じた。 「ええ、もちろん、生きているわ。」 その答えと表情から、僕はこの言葉には続きがあることを知る。 「…話してください。覚悟はできています。」 「…ええ。そうね。」 グラスに残ったスコッチを一気に喉の奥に流し込んでから、 ミサトさんは続けた。 僕の手の中で、オンザロックの氷が溶けていく。 「アスカをドイツに出向させたのは、私。」 ミサトさんはまずそう呟いた。 「だから、今回の事故についての責任の一端は私にもあるの。」 事故?僕の背中を冷たい汗が流れていく。 心拍が上がり、呼吸する音が脳内に響きわたる。 「全ては向こうが計画して実行したことで、 私は知らされていなかったんだけど…」 ウィスキーを一口ゴクリ、と飲んでから、僕は訊いた。 「事故って、なんですか?」 その「事故」はアスカの帰国前、最後の仕事になる筈だった。 最後の仕事を終えたらその足で空港に向かおうとしていたアスカは、 「いい?計画は絶対実行すんだからね!」 と念押しのメールをミサトさんとヒカリに送っていた。 「だから、こんな状況になって、ちょっと迷ったんだけど、 結局アスカの希望通りにしようってことになって。」 ミサトさんの言葉は、僕の中になかなか入ってこない。 「じゃあ、あの携帯番号は…」 「あの携帯は本部の私の机の中にあるわ。」 「あのメールアドレスは…」 「あれも私の所に来ていたわ。」 「じゃあ、あの返事は…?」 「返事?私、何も返事していないわよ。」 「え?」 僕は、アスカから(と今の今まで思っていた)メールを見せる。 ミサトさんは、しばらく黙って考え込んだ後、 「そうね、きっとアスカが送ったのよ。それでいいんだと思うわ。」 と言って微笑んだ。 相変わらず目尻の皺以外は何も変わらない、素敵な笑顔。